春の燕岳2,763m
三島野SC自主企画  2005.5.14〜15

残雪の燕岳は3年連続企画の山行。春山は何より天気が気になる。出発前日に奥穂高で遭難のニュースを聞いたが、春の吹雪が襲っていたという。
 天気予報はこの2日間は一応お日様が描かれていて、出発は曇り空に僅か青空がのぞく空を見ながら5時ジャストに。定員いっぱいの10人の参加者と荷を乗せ、会社から借りたハイエースはあふれんばかりだが、一台で行けることがうれしい。糸魚川インターを下りて、運転をTYさんに代わってもらった。白馬を過ぎた辺りから天候が好転し強い陽射しがでて、喜ばしてくれる。予定どおりの時間で運行し、中房温泉有明荘に8時10分頃に着いた。そこで昨年写真を送ってくださった「林正美さん」にその時のお礼として持ってきた“昆布巻きと赤巻き”のかまぼこを彼女に渡すつもりだったが、今日燕山荘から下山する予定だという。渡してほしい旨をのべて預けてきた。
 8時52分に登山口を出発。カラマツの樹林帯の緑は少なく、芽吹きは昨年より遅いように思える。30分インターバルの歩行をイメージしていたが、第一ベンチまで38分。そこから第二ベンチまで28分。さらに第三ベンチまで30分と絵に描いたようなペースで登っていた。徐々に残雪が多くなってきてアイゼンを装着。途中で燕山荘の赤沼健至さんの「登山教室」一行を追い越した。その時に彼は「きのう山荘付近で30pの新雪が降りましたよ」という。それには我々一同ビックリ。
 12時15分に合戦小屋。一面雪に覆われた小屋前のテーブルで昼食。先着に2パーテェーあり。ぬけるような青空と陽射しだが、風は冷たい。
 12時50分に再び歩き始める。雪が分厚く残るコースはほぼ直登となって、時間を省いてくれるが、キツイ。左手の大天井岳の稜線に槍ヶ岳の穂先と小槍が顔を出しているのを見つけて歓声を上げる。
 13時12分合戦沢の頭。めざす燕山荘や燕岳の頂が視界に入る。
ここからは森林限界を超えてさえぎる木々が無い。びっしり残る雪にアイゼンの爪を立て、めざす稜線上の小屋を見上げ、時折周囲の山々に目をやりながら疲れが出はじめた脚を癒すように歩を進める。稜線近くなって雪の無い道が多く、アイゼンをはずした。
 燕山荘に着いてから小屋周りを迂回する僅かの距離がダヤイ。

 14時30分到着。360度の見事な展望が迎えてくれた。何回も見てきた展望だが、これまでで最高の景観といえるだろう。真っ青な空に昨日降った雪が、残雪を抱えた峰々を薄化粧したかのように冴えわたらせている。この展望がこの山を登らせるといっても過言ではない。北アルプス最深部といえる水晶、鷲羽、野口五郎などが手に取れるような至近距離にあり、その峰々の中でもやはり槍ヶ岳の存在感は他を圧倒して我々の目を奪う。
 ザックを小屋において2,763mの頂上を往復。小屋に着いて緊張を解いた脚に登りも少ない僅か30分の歩行がトテツモナク重く、みんなが同じ気持ちをいう。
 小屋の受付であの林さんが迎えてくれ、「下から電話がありました」と。更にうれしいことに10人以上1人分がサービスで無料となるという。装備を部屋前の棚に置き、談話室で祝杯をあげることになった。皆のそれぞれの感動がそれぞれの言葉で交わしながらの酒は美味く、すすむ。
夕食は豪華だったし、林さんからの差し入れの『安曇野ワイン』がおいしかった。そして夕食後の赤沼健至さんの「トークとホルン」は楽しい山小屋の生活に“ただ食べて飲んで寝る”だけから文化的な時間を加味させてくれた。
疲れた体は布団に横になった瞬間に寝入ってしまった。
 4時前に目が覚め、前夜の風の音を知らなかった私は、4時半頃に日の出を迎えるべく寝床から出て外を見てビックリ。ガスで何も見えず、しかも雪が薄っすらと小屋前の広場を覆っていた。昨日の天気から想像もできない変化である。
 朝食後、コーヒータイムを取ってゆっくり準備する。出発する人は皆アイゼンを付けて出て行く。小屋の人が「固い雪の上に新雪が積もっています。滑ると危険です。アイゼンを着けて行ってください」と大きな声で警告を発していた。
 小屋前で装備を整えて、横殴りの雪の降る中で記念撮影。7時30分出発。小屋周辺で新雪は20〜30cmくらいになっている。先行する人の踏み跡をたどりながら慎重に下山する。やせ尾根や険しい岩場のコースであったら危険度は大きいだろうと想像する。意外と早く35分で合戦沢の頭に着く。そして合戦小屋に8時15分。厚着してきた分汗もかき一枚脱いだ。ここで装備を点検し直し、下山を急ぐ。だんだん雪が弱くなり、小雨になってきた。標高2,200mあたりで変わったのだろうか。予定より若干早く登山口に帰着。10時33分。
 早速「有明荘」の温泉に向かう。下山後の温泉は心も体も癒してくれる。しかもここの温泉は広いしゆったりと湯に浸れる。そして今回の山行の完成を祝う乾杯と昼食をし、12時30分帰路に着いた。小杉薬勝寺Pに16時30分。
 費用はビール、コーヒー、風呂付、交通費込みで11,600円也。10人で1人分サービスが利いた。
 360度の展望は期待以上の映像を映し出していた。峰々が前日の雪が黄砂等の汚れを隠し、晴天の空に透明度の高い澄明さで目前に展開した。また翌朝の冬山を思わせる風と雪は春山の怖さを知らしめ『冬並みの装備』の必要性を認識させてくれました。

写 真 集

合戦沢の頭まであと一息

オーナーのトークとホルン

小屋前にて稜線をバックに

横殴りの雪の中でこれから下山

温泉で温まって、満足度100%の乾杯 有明荘

入念に出発準備

燕岳登山感想   H.I

定刻どおり午前5時薬勝寺P出発。Hリーダー以下10名(女性4、男性6)である。登山口で登山計画の投函を終え、予定より10分早い8時50分(計画は9時)に出発した。

第1ベンチ、第2ベンチを過ぎ、第3ベンチあたりから残雪が多くステッブを確実に切ることが必要となってきたので、ここらあたりでグループ全員アイゼンを装着することにした。アイゼン装着をはじめて経験する人、装着に慣れた人、全員がそれぞれ装着を終え再出発した。これまでよりも確実に高度が稼がれることを憶え、現代兵器の便利さを感じた。合戦小屋で昼食をたっぷり時間をかけて取った。空はコバルトブルーである。雪面からの反射が眩しい。サンゲラスが必要である。青い空と木々の若葉色のコントラストは実に柔らかくて美しい。

合戦小屋から合戦の頭までが急登と聞かされていたので、それなりの覚悟で登ったし、アイゼンの威力もあり案外早く合戦の頭に到達した。合戦の頭までの途中で登路南側に槍ヶ岳の雄姿が見え始めた。聳え立つ槍の岩稜には剣岳と同じく雪はあまり付いていなく、槍の厳しさを誇示している。頭まで登るともう燕山荘が見えてきた。

北側の雪渓と雪面に顔を出しているハイマツの間を縫うようにして登り、燕山荘の手前でアイゼンを外した。午後2時30分に小屋に着いた。リュックを小屋に預けいよいよ頂上へ向け小屋を出た。稜線から見る景色には遮るものは何もない。槍の北鎌尾根、東鎌尾根、西鎌尾根、大喰岳、穂高運峰、笠、三俣蓮華、黒部五郎、水晶、剣、鹿島槍など何処を見ても東西南北の知る限りの山々が見える。雪の冠を被っているので夏山の形とは少しは達うもののその雪山の景色は素晴らしかった。

山荘のオーナーの話では昨日は30cmの積雪であったそうである。そういえば、雪渓の上に新雪が降った跡が見えた。春山には少し早い時期か小屋は混雑しておらず、快適な宿泊を過ごすことができた。一晩中、風は小屋の戸を叩いていた。別に気にすることなく就寝していたが、早朝になりびっくりした。

昨日の天候と打って変わり朝から吹雪である。ガスがかかり粉雪の吹雪状態である。7時の出発計画のところ7時30分に小屋を出ることにした。昨日は小屋の辺りは土が出ていたが今朝は積雪で土が見えない。アイゼン装着の出発である。小屋を出たとたんに、谷から吹き上げる吹雷は頬を刺す痛さである。春山で初めて経験する吹雪である。何時もより1枚多く着込んでカッパを着た。

合戦小屋の頭まで足元十分注意して歩を進めた。注意の連続だったためか意外と早く合戦の頭まできた。ここまでくれば安心である。後は山陰になるので風がなく足元だけを注意して、絶対に滑らないように降りた。

春山とは言え、一旦天候が変わればこのとおりである。春山でも最悪の事態を想定した装備が必要であることを思い知らされた。ほんとうに身になる経験をした。